猫ちゃんのおしっこの問題について

2021.9.10

こんにちは。獣医師の小田です。

 

当院では、月に1回、夜に獣医師のミーティング兼勉強会を行っています。

最近猫ちゃんの尿管結石やなかなか消えない尿中結晶に遭遇することが重なったため、

今月は猫ちゃんが、頻尿や血尿を呈する病気である猫下部尿路疾患(FLUTD)の治療法を見直しました。

(上段左からストラバイト結晶、シュウ酸カルシウム結晶、尿管結石)

FLUTDは猫特発性膀胱炎と、尿石症、雄猫の尿道閉塞の総称です。

 

FLUTDには、今まで療法食を主とした治療が行われてきましたが、最近、若いころに尿道閉塞を起こして以来、

療法食を与えていたにもかかわらず、結石ができてしまい、その結石が尿管に詰まって急性腎不全を起こしてしまった猫がいました。

どうして療法食を与えていたのに、結石ができてしまったのか、また、療法食をあれこれ試しても結晶が消えない猫ちゃんがいる ことから、今回のミーティングのテーマとなりました。

 

FLUTDはドライフードが普及し始めた、1980年代から増加しており、現在は1990年代の約2倍の発生数になっています。

昔の猫ちゃんは、お外で狩りをして獲物を取ったり、ねこまんまといってごはんにお味噌汁をかけたものを与えられていました。こうした食物は水分を70-75%含んでいるため、当時の猫ちゃんは水を飲まなくても、食物から十分に水分を取ることができていました。

食物中の水分が61%を下回ると、動物は脱水することがわかっているため、食物中の水分は62%以上であることが望ましいのです。

近年、純血種の猫ちゃんの飼育の増加に伴い、飼い主様の意識も高まり、質のよいドライフードを与えることが主流となってきました。

ドライフードは確かに高品質で、管理も簡単ですが、含まれる水分量はごくわずかです。

そのため、猫ちゃんは、いくら水を飲んでいても、ドライフードだけでは、簡単に脱水してしまいます。

また、脱水したときに、必要な水を飲むのに、わんちゃんは約1時間で飲みますが、猫ちゃんは約24時間かかることもわかっています。

脱水すると、体内に水分をとどめておくために、腎臓は尿を濃縮して排泄します。尿が濃くなると、尿中に結晶が析出します。

また、膀胱に尿が貯まっている時間が長くなり、膀胱結石が作られます。

これを改善するためには、水分を62%以上含む食物を与えることが重要であり、ウェットフード、つまり猫ちゃん用の缶詰がそれに相当します。

 

統計によると、猫下部尿路疾患と呼ばれる、の2/3は特発性膀胱炎です。

特発性膀胱炎は、ストレスと、尿が濃くなることが原因の一つとして言われています。

ストレスにより、活動性が低下すると、代謝水が減るため、水分摂取量が減ります。

室内飼育の猫ちゃんが避妊去勢手術により肥満となり、運動不足になっても同様のことが生じます。

また、トイレが気に入らないと、トイレに行く頻度も減ります。

慢性的な膀胱炎があると、膀胱粘膜が収縮しきれなくなり、排尿後も尿が膀胱に残ってしまい、こちらも膀胱結石の要因となります。

尿道閉塞という、雄猫の尿道に結石や膀胱炎による炎症産物が詰まって急性腎不全を起こす病気も、

もとをただせば、尿中結晶や特発性膀胱炎が引き金となっており、その管理が重要になります。

 

以上のことから、FLUTDの管理に重要なのは、以下のようになってきます。

①療法食(当院ではストレス緩和成分入りのものや国産の嗜好性の高いものをお勧めしています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②飲水を促す工夫、ウェットフードの給餌

(容器、ウォーターファウンテン)

(猫ちゃんによって、好みの容器や飲み方があります、当院のにゃんちゃんの水入れと、お留守番中にひっくり返さないような場所においた我が家の猫の足付きの水飲み容器)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫ちゃんに快適なトイレ環境作り

(当院のうにちゃんはいわゆるシステムトイレですが、にゃんちゃんは箱にペットシーツをしいたトイレが好みです、猫砂がぐちゃぐちゃなのは、前足で砂をかいたからで、トイレを気に入ってくれている証拠です。トイレは猫の頭数+1個設置するのが理想で、それぞれのトイレは離して設置しましょう。大きさも重要で、撮影のために3つ並べたトイレの緑色のものが標準的なサイズの猫トイレですが、我が家の猫は体格が大きいので、ビッグサイズのトイレを用意しています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

④運動

(キャットタワーの設置や狩猟本能を満たす遊びなど、うにちゃんのお気に入りのキャットタワーと我が家の猫のお気に入りのおもちゃのダンシングフィッシュです)

 

 

⑤ストレスの緩和

(少なくとも猫の頭数分の水飲み容器や休息場所を用意する、当院のにゃんちゃんとうにちゃんはベッドや隠れ場所を沢山持っています)

(外を見ることができる工夫、我が家の猫のお気に入りの窓)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛する猫ちゃんの環境をもっとよくしてあげたい、という方はぜひお気軽に当院の猫のストレスケアをご利用ください。

 

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