無麻酔歯石除去について
2021.6.7
こんばんは。獣医師の小田です。
春は狂犬病予防接種やノミダニ、フィラリア予防など、健康なわんちゃんの来院が増えます。
そのためか、最近、わんちゃんの歯科処置を行う頻度が増えています。
先日は他所で無麻酔で行う歯石除去に通っていたトイプードルちゃんの歯科処置を行いました。
頻繁にくしゃみが出るようになり、歯周病を疑っての処置でした。
診察時にすでに抜けている歯が多いことはわかっていましたが、
お口を触られることを嫌うようになってしまっていたので、
全身麻酔をかけてから詳細に観察したところ、確かに歯石は少なかったのですが、
本来42本あるべき永久歯が、10本しか残っておらず、そのうち6本は歯周ポケットが深かったり、ぐらついていたりで、
結局4本を残して抜歯することになってしまいました。
9歳という年齢のわりに歯周病が重症で、病院スタッフ一同ショックを受けてしまいました。
無麻酔歯石除去には、全身麻酔をしなくてすむというメリットの反面、歯周病が悪化する、動物が骨折や歯の破折などをする、動物や施術者が鋭利な器具で怪我をする、痛みにより自宅でのケアがしにくくなる、などのリスクがあります。
全身麻酔に抵抗がある方は多いと思いますが、獣医療は日々進歩しており、全身麻酔の安全性も高まっています。
手術前の血液検査やレントゲン検査で全身麻酔実施の是非を十分に検討したうえで、全身麻酔をかけて丁寧に歯科処置を行うことをお勧めします。
日本小動物歯科研究会やアメリカ獣医歯科学会でも無麻酔歯石除去について詳しくコメントしているのでご興味のある方はご覧ください。
歯科医師のコメントもあり、とても参考になりました。
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