犬猫の来院ストレスを緩和するためのPVPと鎮静剤
2022.3.10
こんにちは。獣医師の小田です。
今年は観測史上まれにみる大雪で皆様大変かと思います。春まであと少し、頑張りましょう。
先日、年に1回の日本獣医動物行動研究会の総会に参加しました。
コロナ禍のため、昨年に引き続き、オンライン開催です。
今年の教育セミナーのテーマはPre-Visit-Pharmaceuticalsと鎮静剤でした。
PVPとは、動物病院への来院時に犬猫の不安を軽減する目的で投与するお薬のことで、鎮静剤は実際に病院に来て処置を行うときに使用するお薬のことです。
実は私は大学時代、薬理学教室に所属していたので、お薬の話は大好きです。
たまたまこちらのセミナーの前に、健康診断で血液検査をした猫ちゃんで、採血のときに不安のあまり鳴いて大騒ぎだった子がいました。
後日追加で腹部超音波検査を実施する必要があり、本来であれば鎮静下での検査が必要な性格でしたが、PVPを処方して飲んできてもらったところ、大人しく検査をさせてくれて、結果的にその子の負担が減った経験をしました。
当院はCat Friendly ClinicとしてGold認定を受けています。
こちらはハード面についての認定ですが、今後、ソフト面としてCATvocateの認定も目指しています。
病院が苦手な猫ちゃんは多いと思いますが、今回の経験はその一助となると思えました。
また、入院中に不安で吠え続けるワンちゃんにも以前なら鎮静剤が投与されていたところですが、同じお薬でリラックスして過ごしてくれた経験もあります。
こうした抗不安薬だけでは不十分な場合には鎮静剤を検討します。
獣医療の先進国であるアメリカではかなり浸透してきているようですが、日本ではまだまだ、鎮静に対する抵抗が大きいようです。
鎮静による副作用が心配というのが大きな理由でしょうが、私たち人間も、健康診断で胃カメラをするときに、恐怖心が強くて鎮静をかけてもらうことがありますよね。
しっかりモニタリングした上での適切な鎮静は恐怖心を和らげ、検査や処置の安全性を高めます。
一口に鎮静剤といっても、個々の不安感の強さや、検査処置の時間の長さによって、使用する薬は様々です。
こちらのセミナーを受けて、当院の鎮静剤のメニューを一新し、個々の年齢や状態に合わせて最適な鎮静がかけられるように整備しました。
愛するペットの不安やストレスを少しでも和らげてあげたい方はどうぞご相談ください。
配信内容:行動治療をご利用いただいた患者さまの写真、問題行動予防について、動画で見る行動学、小田のひとりごと
画像は10月18日~12月28日までのInstagramです。
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