混合ワクチンについて その2
2023.10.12
こんにちは、獣医師の織原です。
以前、2022年5月にも混合ワクチンについての記事がありましたが、 今回はそれに補足する形での説明をさせていただきます。
◯子犬、子猫のワクチンについて
生後間もない子犬・子猫は母親から貰った移行抗体に守られています。
移行抗体が働いている間はワクチンを接種しても十分に免疫を獲得することができません。
移行抗体は生後どんどん減少していき、6~8週間ではかなり少なくなってくるので、この時にワクチンを接種することで、免疫力が低い危険な期間を極力作らず病原体への抵抗力を得ることができます。
また、ワクチンは1回だけの接種だと十分に抗体価が上がらないことが多いので、1回目の接種から3~4週間間隔で合計2~3回ワクチンを打つことが一般的です(1回目のワクチンが遅い時期だと、合計2回のワクチンになることがあります)。
最終的には、目安にはなりますが、犬では14週齢~16週齢で、猫では16週齢頃に最後のワクチンを打つようにします。
その後は1年に1回、ワクチンを打ち続けていくことを基本的にお勧めしております。
◯ワクチンの種類について
現在当院では犬のワクチンについては6種と8種、猫は3種混合ワクチンを扱っています。
犬と6種と8種ワクチンの違いとしては、8種はレプトスピラという病原体のワクチンが2種含まれています。
レプトスピラはネズミやキツネなど、野生動物が持っていることが多い細菌で、犬だけでなく、人間にも感染してしまう人獣共通感染症です。北海道では野生動物間で広く共有されていることが予測されていて、白石区でも発生の報告があります。
レプトスピラは感染した野生動物の尿とともに排泄され土壌や水を汚染します。汚染された土や水に触ったり、口に入ったりすると感染する可能性がありますので、キツネなどの野生動物が多い札幌周辺、特に郊外の方に行かれることがある場合は、予防しておくことをお勧めしております。
8種ワクチンを子犬の時に打った場合、やはり1回では抗体価が上がりにくいので、もう1回以上は子犬の間に同じ8種ワクチンを打つ方が良いでしょう。
ワクチンの副反応についても、6種と8種ではそれほど差がないと言われていますので、ワクチンアレルギーを起こしたことがあったり、高齢だったりする場合を除いては、できれば8種ワクチンを打つことを推奨しております。
◯ワクチンを打った後について
ワクチンを打った当日は最も副反応や体調不良が出やすい時期ですので、安静にして、体調をよく見てあげて下さい。
アナフィラキシーショックという強い副反応は接種後約60分以内に発生することが多いので、接種直後は特に注意して下さい。
その後も接種後48時間は副反応(アレルギー反応)が出やすい時期になっているのでご注意願います。
アナフィラキシーショックの症状としては、ぐったりする、嘔吐、呼吸困難、失神、チアノーゼ(粘膜の色が真っ白になります)などがあります。
少し時間が経ってから出るアレルギー反応としては、顔が腫れる、身体に発疹が出る、嘔吐、体を痒がる、食欲不振、発熱といったものがあります。
いずれの場合もですが、特にアナフィラキシーショックを疑う症状が見られた場合は、すぐに病院に連絡して頂くよう、よろしくお願いいたします。
接種当日は散歩は控えるようにして、体調が良ければ翌日から様子を見つつ再開して下さい。また接種後2~3日は激しい運動やシャンプーは避けて下さい。
ワクチンを打ってから十分な免疫力を獲得するまでは、概ね2週間ほどかかると言われているので、子犬・子猫のワクチンプログラムが終了してから2週間は他の子との接触は避けるようにして下さい。その間の散歩は抱っこをするなどして行って下さい。
ワクチンはワンちゃん、ネコちゃんの健康に必要不可欠なものですが、プログラムや副反応など注意しなければいけないことも多いものになっています。
なにかご不明点がありましたら、病院のスタッフまでお気軽にお問い合わせ下さい。
きたのさと動物病院 併設/札幌どうぶつ皮膚科・耳科センター
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