FIP(猫伝染性腹膜炎)の治療のご案内

2026.2.16

確かな診断と手の届く価格で

~isfmゴールド認定病院の猫に優しいFIP治療~

きたのさと動物病院(北海道札幌市)

FIP治療に悩む飼い主様へ

かつて、FIP(猫伝染性腹膜炎)の診断は「死の宣告」にも等しいものでした。 転機となったのは2019年。米国から「FIP治療におけるGS-441524の有効性」を示す論文が発表されました。それは人の新型コロナウイルスによるパンデミックが社会に大きな混乱をもたらしていた時期のことです。

人の新型コロナウイルスと決して無関係ではない複雑な背景により、その後のFIP治療は混迷を深めることとなりました。当初、治療の主役となった薬剤は、特許やライセンスといった正規のルールを逸脱した形で流通し、その不透明な成り立ちと異常なまでの高価格が、多くの飼い主様と獣医師を苦悩させてきました。

「本当に治るのか」「高額な費用を払えなければ、諦めるしかないのか」「何を信じればいいのか」。FIP診療にまつわる疑念が、完全に消えることはありませんでした。

しかし、2026年現在、いくつかの治療薬が普及し、その効果は明確に証明されています。正しく診断し、適切な対症療法と抗ウイルス薬による治療を行う、そして、治療効果を適切に判定しながら進めることで、「80~90%の確率で完治が可能」と考える獣医師が増えています。今、医療側に残された大きな課題は、「適切な治療効果の判定」と「費用の最適化」です。

FIP治療には、いまだ過去の不安や不信感が拭いきれない側面があるのも事実です。だからこそ、その不安を受け止め、透明性の高い医療を提供することこそが、今のFIP診療に求められていると私たちは考えます。当院は、isfm(国際猫医学会)ゴールド認定病院として、以下の信念に基づきFIP治療を行っています。

客観的な根拠に基づく診断と治療

FIPは確定診断が難しいこともあります。特定の検査結果のみで判断を下すのではなく、症状と検査データを総合的に評価し診断をします。FIPは、診断がついて薬を飲ませれば治るというわけではありません。主にisfmの診断と治療プロトコルをもとに薬の効果があることを検査で証明しながら治療を進めています。当院では、FIPに限らずどのような病気でもこの診断と治療を正しく行うように努めています。

適正価格での薬剤提供

信頼性の高い薬剤を確保し、治療費のハードルを可能な限り下げました。医療水準を維持しつつ、現実的な費用設定に努めています。

84日間にわたる継続的な管理体制

84日間の治療期間中、獣医師と看護師が一体となり、猫ちゃんと飼い主様を支えます。

◆isfm基準に準じた診療環境

猫のストレスを最小限に抑える環境を維持しています。病気への対応はもちろん、ご家族との対話を重視した診療を心がけています。

はじめての方へ ~FIPの基礎知識~

FIP(猫伝染性腹膜炎)の診断、あるいはその疑いを知らされた際、多くの方が強い不安を抱かれます。適切な判断を行うための第一歩として、まずはこの病気の性質を正しく理解することから始めましょう。

1. FIPとはどんな病気?

病原性の低い猫コロナウイルスの突然変異によって発症する、全身性の炎症性疾患です。 猫コロナウイルスが体内で強毒化しFIPウイルスとなり、生命を脅かす重篤な症状を引き起こします。

原因:

本来は軽い腸炎(下痢など)を引き起こす程度の猫コロナウイルスが、何らかの要因によって変異し、免疫細胞に感染して全身に激しい炎症を誘発するようになります。

発症しやすい年齢:

主に1歳未満の若齢猫に多く認められますが、免疫力の低下した高齢猫でも発症のリスクがあります。

治療効果:

かつては極めて致死率の高い病気でしたが、現在は早期の診断と適切な治療介入により、完治(寛解)を目指せる疾患となっています。

2. 知っておきたい3つのタイプ

FIPは臨床症状の違いにより、大きく「ウェット型」「ドライ型」「混合型」の3つに分類されます。

ウェット型

胸水や腹水が貯留するのが特徴で、一般的に病状の進行が非常に速いタイプです。

ドライ型

様々な臓器(肝臓、腎臓、肺、心臓など)に肉芽腫(しこり)を形成したり、ブドウ膜炎、神経症状(ふらつき、痙攣など)が現れたりします。ウェット型と比較すると進行は緩やかです。

混合型

ウェット型とドライ型、双方の症状を併せ持ったタイプです。

当院のFIP治療スケジュール

FIP治療は、84日間の「投薬期間」と、その後の3ヶ月間にわたる「再発チェック期間」で構成されます。猫の状態やご家族の状況を総合的に判断し、個々の症例に合わせた最適な治療計画を提案いたします。

84日間の投薬期間

一般的に、FIP治療では84日間(12週間)続けてお薬を飲みます。この期間は、毎日決まった時間にお薬を飲むことが大切です。通院の目安は以下を参考にしてください。

★大切なお願い

 「お薬を飲み忘れた」、「嫌がって飲ませられない」といった場合は、治療が失敗する原因になります。困ったときは、1人で悩まずに速やかにご相談ください。

★その子に合わせた調整

基本的な通院間隔は決まっています。しかし、通院や治療費の負担が大きい場合は、猫の体調やご家族が通院できるペースに合わせて検査の内容や回数を調整いたします。

再発チェック期間:完治を確実にするための3ヶ月

84日間のお薬を飲み終えた後は、少なくとも3ヶ月間は再発しないかを慎重に見守る期間に入ります。

チェックする内容

ご家庭での元気・食欲・体重の変化を観察していただきながら、病院では血液検査やエコー検査を行い、再発の兆候がないかを厳密に確認します。

完治(治療終了)の目安

この3ヶ月間を無事に終え、検査結果に問題がないことが確認できれば、実質的な「完治」となります。その後も、安心のために1年間は、3ヶ月に一度のペースで定期検診を行うことをおすすめしています。

費用の概算(価格は税抜き価格)

FIP治療にかかる総額は、主に「抗ウイルス薬の料金 + 検査の料金 + その他の治療費」の合計となります。ここでは、それぞれの目安を掲載いたします。

1.GS-441524(抗ウイルス薬)の料金

84日間の投薬に必要なGS-441524の料金の概算です。

体重84日間の合計金額(薬の料金)
1 kg¥45,000
2 kg¥75,000
3 kg¥105,000
4 kg¥140,000
5 kg¥170,000
6 kg¥200,000

体重の変化について:治療が進み、健康状態が回復してくると体重が増加します。その際は、上記表の通り体重に合わせた薬剤量が必要になるため、お薬代も変動いたします。

症状による変動: 軽症の場合、上記よりも低い薬の投与量で対応できるケースもあります。

当院で使用する薬剤: GS-441524 レムデシビル モルヌピラビル 

※猫の状態により薬剤の選択は獣医師が提案します。薬剤は獣医師の考えを聞いたうえで決めていきましょう。

2.検査料金の概算

順調に回復した場合、84日間の投薬期間中にかかる検査費用の総額は 15万円 〜 28万円 を目安に考えてください。

主な検査内容: 血液検査(一般項目、蛋白分画、SAA、α1-AG)、PCR検査(滲出液、肉芽腫、血液など)、エコー検査、レントゲン検査、眼科検査(検眼、眼圧測定など)、神経学的検査

3.その他の費用

FIPに限らず、病気の治療には予測できないことが起こります。特に症状が重い場合には、抗ウイルス薬を与えるだけでは治せません。症状に応じた適切な治療が必ず治療の成否を分けます。そのため、以下のような処置や追加費用が必要になることをあらかじめご理解ください。

  • 入院治療費: 黄疸、神経症状、自力での摂食や投薬ができないなど、入院が必要な場合。
  • 対症療法: 脱水改善のための点滴、感染予防のための抗菌剤、眼の症状への点眼薬など。
  • 特殊な処置: 胸水が貯留している場合の抜去処置など。
  • 薬剤の変更: 病状により注射薬、モルヌピラビルの使用を検討する場合。
  • 再診料の追加: 体調が安定せず、通院頻度が増えた場合。

など

セカンドオピニオンのご案内

「本当にFIPなのか」「このままの治療で良いのか」といった疑問に対し、医学的な根拠に基づいた見解をお伝えいたします。FIPの診断内容や、今後の治療継続に不安をお持ちの飼い主様のために、当院では、客観的な視点から現状を整理し、最適な治療の選択肢を検討するためのセカンドオピニオンを承っています。

検査データの再評価と治療の見直し

他院で実施した血液検査や画像診断などのデータをお持ちください。当院の知見に基づき、現在の病状に対する医学的な評価と、今後の見通しについてお話しさせていただきます。

「費用面が理由で治療の継続を断念せざるを得ない」と悩まれている方は、一度ご相談ください。当院で採用している治療プロトコルと、それに基づいた具体的な費用体系を提示し、無理のない維持方法を共に検討します。

遠隔相談のご案内

直接診察なしでは治療効果の適正な判定が難しくなり、治療を成功させるハードルが高くなります。そのため、当院では遠隔相談を積極的には推奨しておりません。 しかし、「周囲に相談できる病院がまったくない」という切実な状況にある飼い主様を支援するため、例外的な対応として以下の体制を整えています。

対象となる方

遠方にお住まいで当院への通院が物理的に困難であり、かつ近隣にFIPの相談が可能な医療機関がない方に限定させていただきます。

相談の方法と流れ

  1. お申し込み: 当院ホームページの「お問い合わせフォーム」よりお申し込みください。
  2. 相談形式: Eメール、またはZoom(オンラインビデオ通話)にて行います。
  3. 時間: 1回の相談につき、30分までとさせていただきます。

ご利用の条件

  • 検査結果の提出: 他院で受診した場合、検査結果(血液検査データなど)を必ずご用意ください。
  • 体重の報告: 正確な投薬量を算出するため、事前に現在の体重をお知らせください。
  • 限界の了承: 身体検査や院内検査を行わないことによる診断・治療上の限界があることをあらかじめご了承ください。

費用とお支払いについて

  • 相談料: 5,000円(税抜き)
  • お支払い: 相談料および薬剤費は前金制となります。 ご入金の確認が取れ次第、相談の実施およびお薬の手配(配送準備)を進めさせていただきます。

お問い合わせ・ご予約

FIPの診断や治療に関するご相談、診察のご予約は以下の窓口より承っております。

お電話でのご連絡

011-873-7883  ※緊急を要する場合、当日に診察しますので必ずお電話下さい。

お問い合わせフォーム

メールでのご相談は、[お問い合わせ]よりお送りください。

WEB予約

「当日の予約」「翌日以降の予約」よりお申し込みいただけます。翌日以降の予約の場合、予約メニューの中から「FIP(猫伝染性腹膜炎)」を選択してご予約ください。

よくある質問(Q&A)

【診断・病気について】

Q. FIPは本当に治る病気になったのでしょうか?

A. はい、完治を目指せる病気になりました。かつては致死率が極めて高い病気でしたが、2019年以降、有効な治療薬が登場しました。現在では、適切な診断に基づき正しく治療を行うことで、80-90%の確率で緩解すると報告されています。

Q. 診断はすぐに確定しますか?

A. FIPは確定診断が非常に難しい病気の一つです。単一の検査で100%の判断を下すことは困難なため、当院では症状の経過や複数の検査結果(血液検査、エコー、PCR検査など)を包括的に評価し、慎重に診断をすすめています。

Q. 「ウェット型」と「ドライ型」は何が違うのですか?

A. FIPはウイルスが感染した免疫細胞によって全身に炎症が広がる病気です。炎症が「どこに強く出るか」でタイプが分かれます。

・ウェット型:血管の炎症が強く起こります。その結果、血管から漏れ出した液体が腹水や胸水として貯留します。一般的に進行が速いで

・ドライ型:各臓器(肝臓・腎臓・脳・眼など)の内部で炎症が起こり、肉芽腫(しこり)を作ったり、眼・神経の異常が現れます。進行は比較的緩やかです。眼や神経に炎症が広がると、血液脳関門を通過するために薬の投与量を増やす必要があります。

・混合型 ウェット型とドライ型、双方の炎症部位と症状を併せ持ったタイプです。

【治療・生活について】

Q. 治療期間はどのくらいかかりますか?

A. 標準的なプロトコルでは、84日間(12週間)の連続投薬を行います。その後、少なくとも3ヶ月間は再発がないかを確認する経過観察期間を設けています。この期間を無事に乗り越えることが、実質的な完治の目安となります。一方でGS-441524による治療では、治療期間を84日と限定せずに一定の検査基準を満たせば緩解と判断し、GS-441524による治療を終了するという方法も模索されています。

Q. 毎日決まった時間にお薬を飲ませなければいけませんか?

A. はい、非常に重要です。体内の薬剤濃度を一定に保つ必要があるため、およそ24時間おき(または12時間おき)の決まった時間に服用させる必要があります。飲み忘れや投薬の失敗は治療失敗に直結するリスクがあるため、難しい場合はすぐにご相談ください。

Q. 治療中に体重が増えたらお薬の量は変わりますか?

A. はい、変わります。FIPの薬剤量は体重に基づいて算出します。治療が順調に進むと食欲が戻り体重が増加しますが、それに合わせてお薬の量(薬剤量)を増やす必要があります。

Q. 治療費の総額はどのくらいになりますか?

A. 猫ちゃんの体重や症状によりますが、84日間に必要な総額の目安として、薬剤費(4.5万〜20万円)に加えて、定期的な検査費用(15万〜28万円程度)が必要となります。重症化して入院や対症療法が必要な場合などでは、別途費用が発生します。

Q. 他の病院で診断されましたが、相談だけすることも可能ですか?

A. もちろん可能です。セカンドオピニオンとして、これまでの検査データを拝見した上で、当院の知見に基づいた見解をお伝えします。特に、費用面での不安や診断への疑問をお持ちの方はご相談ください。

【その他】

Q. 多頭飼いの場合、他の猫にうつりますか?

A. FIPウイルスそのものが、他の猫に直接感染して同じ病気を引き起こす可能性は低いです。原因となる「猫コロナウイルス」自体は感染力が強いですが、それがFIP(腹膜炎)を発症するかどうかは、あくまで個々の猫の体内での「突然変異」によります。一頭が発症したからといって、同居している猫が必ずしも発症するわけではありませんが、食器やトイレの衛生管理を適切に行うことは、猫コロナウイルスの蔓延を防ぐ意味で重要です。私の個人的な経験になりますが、多頭飼育の場合、その中で何頭かの猫がFIPを発症しているケースを見ています。

Q. お薬の副作用はありますか?

A. GS-441524は副作用は少ないとされています。しかし、稀に一過性の食欲不振、下痢、あるいは肝数値の変動が見られることがあります。当院では定期的な血液検査を行い、体調の変化を注意深くみています。

Q. 治療中にワクチン接種や避妊・去勢手術はできますか?

A. 84日間の投薬期間中、およびその後の3ヶ月間の経過観察期間中は、原則としてワクチン接種や手術は控えることを推奨しています。これらの行為は体に一定のストレスを与え、免疫系に影響を及ぼすため、再発のリスクを最小限に抑えることを最優先に考えます。完治が確定し、体調が十分に安定した段階でワクチン接種や手術を受けることは可能です。

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きたのさと動物病院 併設/札幌どうぶつ皮膚科・耳科センター

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診療時間 月火金 第1,3,5
9:00~12:00
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診療時間 第1,3,5 第2,4
9:00~12:00
16:00~18:30
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