行動治療と他科のタイアップ

2021.12.10

こんにちは。獣医師の小田です。

狂犬病予防接種やフィラリア予防など、動物病院業界は春夏が忙しい傾向があります。

一段落した夏から秋は学会シーズンとなり、コロナ禍も相まって、

昨年あたりから、オンライン開催が主流となっています。

11月には、日本獣医動物行動研究会20周年シンポジウムと、私の獣医師としての礎を作ってくれた

動物臨床医学研究所の第42回年次大会が開催されました。

年次大会の市民公開講座は誰でも無料で20日まで視聴できるのでご興味のある方はご覧ください。

今年のテーマは沖縄の絶滅希少動物の保全と保護、プラスチック汚染の2テーマです。

 

今日は二つの学会に参加して、再認識したことをお知らせします。

 

従来、問題行動は、他の身体的疾患を除外した上で診断するものでした。

たとえば、トイレの失敗であれば、まず膀胱炎や尿石症がないか、

こちらについては、私の先日のブログをご覧ください。

攻撃行動であれば、痛みを感じる疾患がないか、甲状腺機能低下症がないか、

こちらについては、看護師斉藤の先日のブログをご覧ください。

尾追い行動をする場合、てんかん発作の一症状であることがあり、私も何例か治療しています。

写真のパピヨンちゃんはお薬がとてもよく効いてくれました。

特発性てんかんでは、不安反応が強い、恐怖に関連する問題行動がある、異常な攻撃行動がある、

訓練性や集中力や認知機能が低下することが知られています。

 

身体的疾患なのか、問題行動なのか、と診断に迷う場合も多々あり、

お薬を使ってみて、その反応をみて診断することも多々あります。

診断的治療は、他の診療科でも行うことがあり、特に痛みを疑うケースで鎮痛剤を飲ませてみて反応をみることなどがあります。

今回の学会の中では、尾追い行動に対して、問題行動あるいはてんかん発作を疑ったが実は馬尾症候群による疼痛による行動変化だったケース、

横になって眠ることができないことに対して、痛みや脳疾患を疑ったが、精神面が原因だったケースが紹介されていました。

 

また、ストレスが身体的疾患を悪化させるものがあります。

アトピー性皮膚炎では、痒みがストレスレベルを上げることはもちろんのこと、ストレスが多いと痒みが増すことが知られています。

特に猫のアトピー様皮膚症候群の悪化要因の中に、環境の変化、医療行為(カラーの装着や外用薬)、があります。

今回のシンポジウムでも、ストレス対策により、痒み止めのステロイドが不要になった猫ちゃんの例が紹介されていました。

猫の下部尿路疾患では、ストレス対策が治療の大きな鍵となります。

特発性てんかんにおいても、興奮や恐怖がきっかけとなって発作を生じる場合があります。

このように、どちらもケアしないとうまくいかないケースも多く、当院でも皮膚疾患の猫ちゃん、下部尿路疾患の猫ちゃん、

足の毛を咬んでしまうわんちゃんなどは、両方のケアをしています。

 

言葉の通じないわんちゃん猫ちゃんの治療には苦労することも多いですが、その分、

うまくいったときの飼い主様の喜ぶ顔、症状が緩和したわんちゃん猫ちゃんの様子は、

私達動物病院スタッフにとっても大きな喜びとなります。

当院では皮膚科認定医の院長、大学時代に神経や筋骨格疾患の診療科で学んだ平島先生がいるので、

私もとても心強く行動診療に携わっています。

 

なお、愛する猫ちゃんの環境をもっとよくしてあげたい、という方はぜひお気軽に当院の猫のストレスケアをご利用ください。

 

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