犬と猫の認知症

2022.12.10

こんばんは。獣医師の小田です。

初雪は記録的に遅かったようですが、朝晩は道路が凍ってひやひやしながら通勤する毎日です。

最近、高齢のわんちゃんの夜鳴きのご相談を沢山受けます。

夜鳴き、といえば認知症という認識かもしれませんが、実はそうではない子もいます。

16歳のミックス犬ちゃんは、他の病気で当院にかかっていましたが、この冬から夜鳴きをするようになりました。

寝ている環境についてお伺いし、今までリビングに一人で寝かせていたのをやめて、

ご夫婦の寝室で毛布を畳んだ寝床に寝かせるようにしたら、朝までぐっすり眠るようになりました。

加齢とともに不安傾向が高まることは知られており、さみしかったのかもしれませんし、

人気のなくなったリビングだと若干寒くて寝心地が悪かったのかもしれません。

シニアになると認められる関節炎による慢性疼痛の初期症状の一つとして、睡眠リズムの変化も知られているため、

一度寝ている環境を見直してみることもお勧めします。

15歳の柴犬ちゃんはもともと夜鳴きでかかっていましたが、最近悪化したため、詳しくお話をお伺いすると、

外に出して排尿させると少し落ち着くとのことでした。

尿検査で細菌感染が認められたことから、膀胱炎の治療をすると、以前の様子に戻ったので、

夜鳴きの対処を再開したところです。

動物医療の発展に伴う高齢化から、

わんちゃんや猫ちゃんでも認知症の子が多く見られるようになりました。

2017年の国内の調査では、犬では6歳以上で発症し、

13歳以上の70%でなんらかの症状があるといわれています。

また、猫では11歳の50%、15歳以上の80%でなんらかの症状があるといわれています。

わんちゃん猫ちゃんでは7歳からがシニアと言われますが、

意外に早期に症状が出ることにびっくりされるかもしれません。

以前は柴犬に多い、などと言われていましたが、犬種や性別による差はなく、

海外の報告では年齢が一番のリスク因子で、食餌内容も大きく影響すると言われています。

認知症は加齢に伴う以下の変化により生じます。

108.png酸化ストレスに対する防御機能の衰え

145.png脳組織や神経細胞、神経伝達物質の減少

133.png脳血管壁のダメージによる循環不全

そのため、治療は以下のようになります

174.png抗酸化成分の補給、環境整備によるストレスの減少

110.png神経伝達物質の補充、不安の解消

162.png循環を整える、脳の糖代謝の低下に伴う中鎖脂肪酸の利用

人ではMRI検査などで認知症の原因を分類することによって、それぞれ効果的なお薬を処方できますが、

動物医療はそこまでは進んでおらず、主にサプリメントやフードによる対応になります。

ただしこれらは進行して夜鳴きまでするようになると、なかなか効果がありません。

夜鳴きまで進むと、不安を和らげかつ催眠効果のあるお薬、抗不安&鎮静薬、強めの鎮静薬と順番に投与していくようになります。

これまで認知症=夜鳴きと捉えられ、飼い主様の不眠や疲労を解消するために、

睡眠薬や鎮静剤で眠らせる、効果がなくなったら最終的には安楽死という方法がとられていましたが、

実は初期症状としてわんちゃん猫ちゃんはいろいろなサインを出しており、

できるだけ早く気づいて、対処することで、進行を遅らせることができます。

その結果、夜鳴きをし始める前に寿命を全うしてくれれば、飼い主様の肉体的精神的疲労も減りますね。

初期の症状としては、たとえば、自分がどこにいるかわからなくなる、飼い主がどこにいるかわからなくなる、

昼夜の睡眠時間の変化、トイレを失敗するようになる、などがあります。

これまでは、年のせい、と捉えられていたものを、軽視せずにぜひご相談いただければと思います。

もちろん、加齢に伴う、視覚や聴覚の低下を原因とすることもあるので、

最初から認知症と決めつけず、しっかりとした身体検査が必要です。

せっかくご縁があって家族として迎えられたわんちゃん猫ちゃんとの生活は

ぜひ最後までハッピーライフであってほしいと思います。

認知症の早期発見のための質問用紙をホームページにご用意していますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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