飲水量多い?少ない?
2023.9.10
こんにちは。獣医師の工藤です。
9月になりました。やっと気温が下がってきたなと感じます。
今年の夏は暑かったですね。皆さま、熱中症や夏バテは大丈夫でしたでしょうか。
まだまだ油断は大敵です。わんちゃんもねこちゃんもお部屋の温度、炎天下の散歩は気を付けてあげてくださいね!
さて今回は飲み水の量についてです。
この夏、暑かったこともあり、診察中に飼い主様から「うちの子全然水を飲まないんです、、」といったご相談をたくさん受けました。
皆様、ご自宅のわんちゃん ねこちゃんが一日にどれほどのお水を飲んでいるかは把握されていますか?
おおよその目安ですが特に治療や食事の工夫をしていないわんちゃんねこちゃんは
犬;体重1kg当たり60ml
猫:体重1kg当たり40ml
を超える飲水量があればやや多めかな?と感じます。
※もちろん目安なので超えていればすぐに異常と決まるわけではありません
気になる方は一度尿を採取してみましょう。
尿の色を見てみればその子がお水をたくさん飲んでいるのか、そうではないのかがはっきりわかります。
写真を見てください。
黄色が濃いおしっこはそれほどたくさんお水を飲んでいないときのおしっこです。

逆に黄色が薄いおしっこはお水をたくさん飲んでいるときのおしっこです。

では実際におしっこが薄い、お水をたくさん飲んでいると疑われた場合どうすればいいでしょうか。
お水をたくさん飲むことを多飲多尿と言いますが、多飲多尿が認められた際、疑われる病気で多いものは次のとおりです。
・腎疾患
・子宮蓄膿症
・糖尿病
・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
・その他内分泌疾患
・心因性多飲
これらの疾患の中には早期に診断を付けなければならない疾患もあるので、今まで以上にお水を飲み始めたらすぐにご相談ください。
もちろん、その他の体調不良(元気 食欲)にも注意してくださいね。
逆に診察内でお水をたくさん飲んでもらうようにお話するケースもあります。例えば、尿中に結石の成分である結晶が出ているとき、膀胱炎にかかっていることが疑われた時です。
わんちゃんねこちゃんは言葉が通じないので「たくさんお水を飲んでね」といってもそう簡単に飲んではくれません。そんな時は工夫が必要です。
・ドライフードに水をかける
・ドライフードとウェットフードを混ぜる
・動物用ミルクを水で薄める
・野菜や肉をゆで、ゆで汁と一緒に与える
・手づくりフードを追加する
ほとんどの子がこれらの方法のどれかで飲水量を増やすことができる場合が多いです。
また、お散歩や運動の回数を増やしてあげると排尿回数が増えるので飲水量も増えやすいです。
しっかりお水の量を増やせていると、先にお話したように尿の色が薄くなってきます。
私の愛犬は過去にストラバイト結晶が尿中に出ていましたがミルクを使って飲水量を増やした後から出なくなりました。



診察中に「一日どれくらいお水を飲んでいますか?」と質問をしてすぐに具体的に答えられる飼い主様は少ないです。しかし、些細なことから病気を見つけられるかもしれません。時々、一日に飲んでいるお水の量を測ってみるといいかもしれません。
心配な時はきれいな容器におしっこを採って診察にいらしてくださいね。思わぬ異常が見つかろことがあるかもしれません。
きたのさと動物病院 併設/札幌どうぶつ皮膚科・耳科センター
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