食べてはいけないものを食べてしまったら、、
2023.1.10
こんにちは!獣医師の今地です。
皆さま年末年始はいかがお過ごしだったでしょうか。
私は愛犬とともに実家に帰省し、実家のわんこたちと遊んで過ごしていました。
さて、クリスマスにお正月と食卓にごちそうが並びやすい季節ですが、そんな時に気を付けておきたいのが誤食トラブルです。
誤食といってもパターンとしては大きく分けて2つです
① おもちゃの部品や割りばしなど消化できないもの
② 人間用のチキンや手料理など人用に味付けされているもの
今回は①についてお話していきますが、②では普段食べないような味の濃いもの、脂分の多いものを食べると膵炎を引き起こしたり、タマネギなど中毒を起こす食材が含まれていると命にかかわることもあるので注意が必要です。
では、もし食べてはいけないものを食べてしまったらどうすればよいでしょうか。
まずは、病院に電話で相談してください。
食べ物を食べると通常2~6時間で胃の中で消化され、腸に流れていきます。
食べてすぐ胃の中にある場合は状況に応じて吐かせる処置を行うことができるので、できるだけ早く連絡していただいた方がいいです。
ただし、吐かせるとかえって危険なケースもあります。
それは
① 食べたのもが串や針など鋭利なものの場合
これらは、吐かせることによって食道や胃に突き刺さったりと危険な状態になる恐れがあるため吐かせることができません
②電池
胃の中や腸管内で溶けて消化管穿孔を起こす恐れがありますが吐かせた際に食道に張り付いてしまうと食道穿孔を引き起こすことがあり、状況により吐かせるかどうかの判断が必要です。
③ひも状のもの
ひも状になっている異物は一部が腸管に流れてしまい、腸で引っかかることがあります。もちろん状況にもよりますが、時間がたっている場合には無理に吐かせようとすると腸管穿孔を起こすこともあるので注意が必要です。
また、本人の具合が悪く、ぐったりしているときや、嚥下障害がある場合には誤嚥の可能性があるため吐かせることはできません。
上記の条件から、吐かせた方がよいと判断した際は血管を確保し、薬を用いて吐かせる処置を行います。
状況に応じてレントゲンを撮り、異物の有無をはっきりさせてから処置を行うこともあります。
また、自宅に残っている残りの異物を並べて一緒にレントゲン撮影することで本当に誤食してしまったのかはっきりすることもあります。
形状確認のためにも異物誤食が疑われた際は実物をもってきていただくとよいかと思います。
では、もし吐かせることができない、吐かせる処置をしたけれど吐かなかったときはどうすればよいでしょうか。
①異物による消化管穿孔や閉塞が疑われる場合
すぐに手術を行い異物の摘出が必要となります
②吐かせると危険だが異物は胃内にのみあると判断されるとき
手術により胃内の異物を取り出す、もしくは状況により内視鏡での摘出処置が可能な場合もあります。
いずれにしても麻酔をかける必要がありますのでできれば避けたいですよね。
当院であった症例をいくつか紹介します。



かなり異物が大きかったため、吐かせることはせず、手術での摘出となりました。
普段から気を付けていてもお散歩中に興奮してうっかり落ちているものを食べてしまったり、いつもはしないのにごちそうのいい匂いにつられてテーブルの上のものを食べてしまったりと、どんな子でも“うっかり”や“あっ!”といったシチュエーションは起こるものです。
起きてしまったときにあわてないためにも日頃からいたずらされて困るものはしっかりしまっておくこと、わんちゃんねこちゃんたちの手の届かない場所に置くなど工夫しましょう。
また、食べてはいけないものを加えているときに“あっ!”と大きな声を上げてしまうとびっくりしてそのまま飲み込んでしまうこともあります。見つけたときは落ち着いて対処すること、日ごろからおもちゃなどを使って「とりかえっこ、ちょうだい」のトレーニングをしておくとよいかと思います。トレーニングの仕方は下記に簡単に記しておきます。
◆とりかえっこ ちょうだい の教え方◆
①大好きなおもちゃを用意します。
②まずは渡さないで端を持ったまま「ちょうだい」の声掛けでおもちゃを引っ込めおやつを上げます。 何回か繰り返します。
③慣れてきたら完全におもちゃを渡して「ちょうだい」の声掛けで取り上げおやつを与えます。
④おもちゃを渡して離れたところから近寄り「ちょうだい」でおやつと交換します。
各ステップ何回も繰り返し、「ちょうだい」はおやつがもらえる合図であると覚えてもらいましょう。
※「ちょうだい」の声掛けの際におやつを先に見せてしまってはいけません。おやつを先に見せてしまうと今口にくわえているおもちゃ(異物)をあわてて飲み込んでしまう原因になります。
これからの季節ではチョコレートや不凍液の誤食などに気を付けたいですね。
それでは雪が好きな子も苦手な子も楽しく冬を乗り越えましょう!
うちのわんこは雪大好きっ子です。

きたのさと動物病院 併設/札幌どうぶつ皮膚科・耳科センター
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