犬と猫の膿が出る外耳炎 ~耳だれ~|札幌市白石区・東区
2026.7.24
きたのさと動物病院・札幌どうぶつ皮膚科・耳科センターの今道です。外耳炎のなかには、耳垢が増えるだけでなく、耳の中に液体状の膿がたまるものがあります。
耳の中に膿がある場合は、単に耳垢の中で細菌が増えているだけではなく、耳道や中耳のどこかで感染が起きている可能性を考える必要があります。
膿は黄色や黄緑色のとろみのある液体として見えることがあります。
当院は札幌市白石区にある動物病院です。外耳炎で気になることがあればご相談ください。
耳に膿がたまると、どのような症状が出るのか
一般的な外耳炎でみられる症状
・耳をかゆがる
・耳が赤くなる
・耳道が腫れる
・耳垢や臭いが増える
膿性耳漏があると、次のような症状が加わってきます。

・治療中は良くなるが、薬をやめると数週間で再発する
・2か月以上治療しているのに治らない
・黄色や黄緑色の、どろっとした耳だれが出る
・耳だれに血が混じる
・耳を痛がる
・頭を痛そうにゆっくり振る
・耳や頭を触られることを嫌がる
このような症状があると耳の中に膿が溜まっているかもしれまん。
耳に膿があるときに行う検査
1.耳垢検査
耳の分泌物を顕微鏡で観察する検査です。
膿がたまっているときには、次のような特徴がみられます。
• 細菌と多数の好中球が認められる
• 好中球が細菌を取り込む「貪食」が認められる
• 通常の外耳炎と比べて、好中球の数が非常に多い
2.ビデオオトスコープ検査
ビデオオトスコープは、耳道の奥や鼓膜の内視鏡検査です。
この検査で重要なのは、次の2点です。
• 膿がどこから出ているのかを確認する
• どのような病変があるのかを確認する
3.細菌培養・薬剤感受性検査
どのような細菌が存在し、どの抗菌薬が効く可能性があるのかを調べます。
最初の診断で、最も大切なのは膿の出所を確認すること
耳垢検査、細菌培養、薬剤感受性検査は、いずれも大切な検査です。
しかし、膿性耳漏の原因を特定するうえで最も重要なのは、膿がどこから出ていて、その場所にどのような病変があるのかを確認することです。
そのためにはビデオオトスコープによる観察が最も重要です。時にはCT検査やMRI検査が必要になることもあります。
一方で、原因を十分に調べないまま、すぐに全耳道切除術や鼓室胞切開術を選択するべきではありません。外科治療が必要な症例もありますが、まず病変の位置と広がりを明らかにし、耳道を温存できる治療がないかを検討します。
膿はどこから出てくるのか
膿の発生場所は、大きく外耳道と中耳に分けて考えます。
外耳道から膿が出る病気
重度の外耳炎

耳道の皮膚に強い炎症が起こり、びらんや潰瘍ができると、そこから膿性の液体が生じます。
細菌感染だけでなく、点耳薬や洗浄液による刺激、過度な洗浄、慢性的な炎症などが関与することもあります。
外耳道の異物
植物の芒や種子などが耳道内に入り、耳道壁や鼓膜を傷つけることで、化膿性炎症が起こります。
片側の耳だけを急にかゆがったり、痛がったりするようになった場合に疑います。
外耳道のポリープや腫瘍

ポリープや腫瘍の表面が傷ついたり、病変が耳道を塞いだりすると、その周囲や奥に膿がたまります。
片側だけに膿や出血が続く場合や、高齢になってから症状が始まった場合には注意が必要です。
中耳から膿が出る病気
化膿性中耳炎

多くは、外耳炎が進行して鼓膜が傷つき、炎症や感染が中耳へ広がることで発症します。犬でよくみられる中耳炎の一つです。
何年も外耳炎が続き、耳道や鼓膜の構造が変化した場合に起こりやすくなります。また、短毛の短頭種では、耳道内にたまった体毛が鼓膜を傷つけ、中耳炎の発症に関与することがあります。
耳管機能不全に細菌感染が加わった状態

中耳は、耳管と呼ばれる管を介して、換気や排液を行っています。
耳管の働きが悪くなると、中耳内に液体がたまることがあります。その液体に細菌感染が加わると、膿性耳漏を繰り返すことがあります。
中耳内のポリープや腫瘍

中耳内にできたポリープや腫瘍の表面は、粘膜で覆われています。病変の表面が傷ついたり感染したりすると、出血や膿性耳漏が生じることがあります。
中耳内の炎症性肉芽組織
慢性炎症、異物、過去の鼓膜穿孔などにより、中耳内に肉芽組織が形成されることがあります。
肉芽組織は傷つきやすく、その周囲に出血や感染が起こることで、膿が生じることがあります。
真珠腫性中耳炎

外耳炎などによって鼓膜が傷つくと、外耳道の角化上皮が中耳内へ入り込み、そこで角化物が蓄積することがあると考えられています。
進行すると、中耳周囲の骨が破壊されることがある、治療の難しい病気です。
以上をまとめると膿が出る場所と主な原因
外耳道
• ポリープや腫瘍
• 重度の外耳炎によるびらんや潰瘍
• 植物の芒や種子などの異物
中耳
• 化膿性中耳炎
• 耳管機能不全に細菌感染が加わった状態
• 中耳内のポリープや腫瘍
• 中耳内の炎症性肉芽組織
• 真珠腫性中耳炎
まずは、膿が出ている場所を特定することから始まります。
そのうえで、外耳炎を治りにくくしている原因である「永続因子」と、外耳炎を最初に起こしたきっかけである「主因」を見つけ、それぞれに対処します。
まとめ
耳に膿がたまっている場合、耳洗浄や点耳薬だけの治療では不十分なことがあります。
大切なのは、次の2点です。
1) 膿が出ている場所と病変を確認する
ビデオオトスコープ、CT検査、MRI検査などを使用します。
2)原因となる病変を治療する
点耳薬、内服薬、内視鏡手術、外科手術などを選択します。
点耳薬や洗浄で膿が一時的に減っても、原因となる病変が残っていれば再発します。
膿を取り除くだけでなく、膿が作られている場所と原因を見つけることが、治療の第一歩です。
きたのさと動物病院・札幌どうぶつ皮膚科・耳科センター 今道昭一
きたのさと動物病院 併設/札幌どうぶつ皮膚科・耳科センター
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