アジソン病~対症療法と確定診断~
2021.4.19
こんばんは。獣医師の小田です。
先日から生後半年の子犬の入院治療に関わっていました。
元気食欲がなく、嘔吐する、というよくある症状で来院したチワワの女の子。
獣医師の中では有名な、でもなかなか遭遇することのない稀な病気である、アジソン病にかかっていて、
診断がつくまでに2-3日かかりましたが、確定診断がついて特効薬の内服を開始してからは
みるみる元気になり、食欲も回復して、チワワらしく、他の犬に勇敢に吠えかかったり、
入院室の中で自分で敷物を寄せ集めてベッドを作ったり、くるまって寝たりと、
まるで我が家のようにくつろいで、かわいい姿を見せてくれました。
本日、退院していき、うれしい反面、ちょっぴり寂しい気もしています。
お薬の量の調整のために、今後も通院が必要になり、生涯お薬が必要になりますが
きちんと管理できれば、長生きできる病気です。
アジソン病は副腎という体の中のホルモン臓器がうまく機能しない病気です。
体内のミネラルのアンバランスという典型的な証拠がみつかれば、診断がつきますが、
元気食欲の低下、嘔吐や下痢、震え、など、漠然とした症状のみのことも多く、獣医師泣かせの病気です。
今回の子も一通りの検査で決定的な証拠がつかめず、入院治療する中で、血液検査の異常が出て、
特殊な血液検査を実施するに至り、確定診断がつきました。
動物病院は検査ばかりでお金がかかる、と思われるかもしれませんが、当院では、言葉の通じない動物たちを治療する中で、
飼い主様のお話と病気の経過から、必要と思われる検査を優先度の高い順に行っていき、
対症療法では治らない病気を確定診断して治すことを目標としています。
重症であれば時間的な猶予もないので、できるだけ早く確定診断を下すために、一度にたくさんの検査を行うこともあります。
もちろん、飼い主様の意向をお伺いして、相談しながら検査を行っていきますので、どうぞご遠慮なさらずにご希望をお伝えください。
配信内容:行動治療をご利用いただいた患者さまの写真、問題行動予防について、動画で見る行動学、小田のひとりごと
画像は2月21日~4月15日までのInstagramです。
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