お薬の飲ませ方について
2023.6.11
初めまして、3月に入社した獣医師の織原翼といいます。
現在はワクチンやフィラリア予防などを主に担当させていただいています。
不慣れなことも多く、もしかしたらご迷惑をおかけしてしまうこともあるかもしれませんが、ワンちゃん猫ちゃんの健康維持に少しでも寄与できるよう努力していきますので、これからどうぞよろしくお願いいたします。
さて、きょうは飲み薬の飲ませ方についてのお話です。
病院に来ると様々な飲み薬が処方されますが、わんちゃん猫ちゃんたちは薬が嫌いですので、飲ませることが難しいこともしばしばです。
そんなお悩みの助けに少しでもなればということで、今回は病院でも診察時などにご説明しているお薬の飲ませ方を、改めてここでご紹介させていただきます。
〇錠剤
- 直接口の中に入れる
わんちゃんの場合
①頭の後ろから優しく片手で両顎を持ちます。
②添え軽く上を向かせます
③もう片方の手で錠剤を指で挟み、犬歯の後ろあたりに別の指を入れ、口を開かせます
④錠剤を口の喉の奥の方に落とすように入れ、口を閉じさせます
⑤上を向かせたまま、のどの下を数回さすります。
⑥わんちゃんが舌を出してペロペロとしたら飲みこめています。
飲み込めていない場合あとから吐き出してしまうことがあるので、
お薬が出てこないかよく見てあげましょう。
⑦投薬後はお薬がのどに残りやすいので、できればシリンジやスポイトで
水を口の横からさし入れて、お薬を流してあげましょう
強引に行うと噛まれてしまうこともあるので、優しく無理せず飲ませてくださいね。

ねこちゃんの場合
①片手で頭を後ろから保定し、もう片方の手に錠剤をつまんで置き、
その手の指で下あごの真ん中を押し下げるようにして口を開かせます。
②口を広げている方の手で錠剤をなるべく喉の奥の真ん中に静かに入れます。
③口を閉じさせて鼻先を上に向け、のどを数回さすります。
④ワンちゃんよりも投薬後はお薬がのどに残りやすいので、シリンジやスポイトで
水を口の横からさし入れて、お薬を流してあげましょう
力づくで行うと、余計に嫌がって暴れてしまうので、優しく無理をしないで行ってくださいね。
- おやつにまぜる
直接薬だけを飲ませるのが難しい場合、普段から食べている好きなおやつやウェットフードに混ぜてあげるとスムーズに食べてくれる場合もあります。
缶詰タイプのフードやパウチ状のフードがお薬を隠しやすいので、お薬が見えないようにフードの中に混ぜてあげましょう。
錠剤が大きい場合は砕いてから混ぜた方が気づかれずに食べてくれやすいです。
また、普段食べているおやつが柔らかいタイプのものであれば、その中にお薬を埋め込んで与えるのもよいです。
当院では「ちゅるびー」というおやつが中に錠剤を入れ込める形をしているのでよく使っています。
あるいは、投薬お補助おやつというものも市販されていますので、こういったものを使ってもよいでしょう。
- 人が普段食べている食べ物に埋める
ペット用のものでなくても、一般的なプロセスチーズやソーセージ、バナナといった食べ物はお薬を埋め込みやすく、特にチーズは匂いも強いので、お薬を隠して食べさせられることも多いです。
それぞれをお薬が隠れる程度の大きさに切って、お薬が見えないように中に入れてから与えてみてください。
乳製品や肉類のアレルギーがある子は該当物質を与えないように注意してください。
- 粉々にしてのませる
錠剤のままではどうしても難しい場合、粉状にしてからのませるのも方法です。
お薬をティッシュやキッチンペーパーで包み、スプーンの丸い面などを使って押しつぶせば砕くことができます。
なるべく粉々にした方が溶かしやすいので、大きなかけらが残らないようにすりつぶしてください。
これの飲ませ方は後述の粉薬の飲ませ方で説明いたします
〇粉薬
粉状の薬は液体に溶かして飲ませてあげることになります。
液体は水やぬるま湯でも構いませんし、薬の味を特に嫌う場合は、ジュースや牛乳、コンソメスープといった味のついた液体に溶かすとよりスムーズなことも多いです。
これもアレルギーには注意してくださいね。
①お薬を溶かした液体をスポイトやシリンジ(注射器)に入れます。
溶かす液体の量が多すぎると飲ませるのが大変なので、なるべく少なめの液体に溶いてあげた方がやりやすいと思います。
②片手で下から両顎を持って保定し、顔を少し上に向かせます。
③もう片方の手でスポイト・シリンジの先端を口の犬歯の後ろあたりから差し込み、
ゆっくりと流し込んでいきます。一気に多くを入れると誤嚥する危険性があるので、少量づづ入れてください。
④飲ませ終わるまで頭を保定したまま、少し鼻先を上げるようにしておくとお薬がこぼれてしまいにくいです。
お薬はどうしても必要になることも多いのですが、与えるのが大変だと人もワンちゃん猫ちゃんもお互いにストレスを抱えてしまいますので、スムーズに飲んでもらえるようになればうれしいですね。
実際にお薬を飲ませるのはコツのようなものが少しいりますので、やってみたけどうまくできなかったり、他の方法を試してみたかったりするときは、お気軽に病院スタッフまでお問い合わせください。
きたのさと動物病院 併設/札幌どうぶつ皮膚科・耳科センター
- 〒003-0825北海道札幌市白石区菊水元町5条1丁目11-19
- 011-873-7883